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岡本は学生時代の専攻科目で、災害時のソーシャルワーカーの体験を聞く機会があり、「防災」に興味をもっていた。そして就職活動において大学で開催された会社説明会で日本無線と出会い、ソリューション事業が防災に貢献していることから関心をもった。さらに防災だけではなくマリンシステム事業含め、幅広く事業展開していることから、活躍の場が沢山あるのではないかと思い、日本無線を志望した。また「説明会での採用担当の方の人柄が素晴らしく、会社の風土を体現しているように思ったことも決め手でした」と振り返る。
入社後は10日間の受入教育を経て、2ヵ月ずつ2部門で職場実習を経験した。前期は調達部、後期は人事部で、業務を学んだ。
「当社の業務の雰囲気、技術開発の重要拠点である長野で技術者とふれあい、製品そのものや開発現場を見ることができたのは貴重な経験でした。」
2018年の夏、岡本はマリンシステム営業部海外営業グループへ配属となる。海外営業グループは文字通り、世界市場に船舶無線、ブリッジシステム、航行支援機器などの販売、プロモーションを行う。また海外の子会社と協力して、世界の商船、中小型船のシェアを増やすことをミッションとしている。
岡本は前任者から引き継ぎ、子会社Alphatron Marine Beheer B.V.(本社オランダ・ロッテルダム)のシンガポール拠点である「Alphatron Marine Systems Pte Ltd.(以下AMS)」を担当している。
「AMSの担当エリアは日本、中国、韓国を除くアジア全域です。AMSには10数人の営業をはじめ調達、サービスなどを含めて100人ほどの社員がいますが、営業を中心に彼らと協力し合ってシェア拡大のための営業活動をすることが私の仕事です。時差が1時間ほどのシンガポールとはほぼ同じ時間感覚なので、ほかの地域よりコミュニケーションはとりやすいです」と語る。
現地とのやりとりはすべて英語。「配属にあたり最も不安だったのが英語力」という岡本だが、OJTを通しながら、個人的にも勉強を重ねた。また、英語力だけではなく技術知識や輸入知識なども習得した。今では堂々と現地のスタッフとコミュニケーションできるようになっている。AMSでは、営業は常に各国のお客さまと情報交換をし、船の換装(装備されている装置や部品を取り換えること)依頼を受けると、シンガポールはじめ寄港地で技術者による修理や機器交換などを手配する。そこで必要な各種機器をAMSに供給するのが岡本の仕事だ。
「出張に行くこともありますが、基本的にはオフィスでのデスクワークで、地域ごとにお客さまのニーズや市場の状況に特色があるので、それを理解したうえでの対応が必要です。」
換装を日本で行う場合もあり、そのときは、岡本の役割の重要度が増す。必要な機器や部品の手配から、船の受け入れ、技術者の手配、施工の工程管理、そして出港手配まで、マネジメントの領域がいちだんと幅広くなるからだ。2、3ヵ月に一度は国内での換装があり、普段より緊張度は増す。
「大変ではありますが、ときどき訪船する機会もあり、パートナーであるAMSの仕事がうまく進み、スタッフが喜んでいる姿を見ると達成感を覚えます。お客さまの船の船員さんとお話させていただくと、日本無線の製品が使いやすく、安全な航海に貢献していることを実感でき、やりがいを感じますね。」
海外営業グループ配属当初に比べて余裕も生まれ、仕事を楽しめる局面も増えてきた。「それでも」と岡本は続ける。
「先輩の真似をし、AMSのスタッフに教わり、何とかここまできましたが、能力的にはまだまだ足りないものばかりと思っています。語学学習は日々欠かせないものとして続けていきますが、AMSとの人間関係、信頼関係ができてきたいまだからこそ、私が気づいた営業上の改善点、効率化の方法などをもっと話していきたい。頼まれたことをこなすので精一杯ではなく、自分から意見や提案を発信していく、攻めの姿勢を見せたいですね。また中国や韓国の展示会に参加し、新機種のプロモーションに携わる機会もありますが、そういう海外出張も増えてくると思うので、もっと頑張りたい。微力ですが、コツコツ努力することで、お客さまのお役に立ち、航海の安全、安心に貢献したいです。そしてもっとたくさんのJRCロゴを船上に輝かせたいです。」
目標を語る岡本の表情は、溌剌としている。伸び伸びと成長できるのは、その風土に要因があるのではないかと思い、最後に職場環境について尋ねてみた。
「就職活動で採用担当の方の人柄から当社に惹かれたのですが、その印象は正しかったです。当社はとても穏やかな人が多く仕事がしやすいと思います。また特に海外営業グループは風通しが良く、若い社員が多いので元気がイイですね。また年齢という垣根なく先輩や上司も接してくれて、豊富な知識やノウハウにいつも助けられています。目標にしたい人が身近にいることが幸せですね。」
恵まれた環境で今、岡本の視線は、次のステージに向けられている。
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